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地道な活動が医療を変える―進化する患者会(下)(医療介護CBニュース)

 「原因が分からない」「診断が付かない」「治療法がない」といったアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患が依然として存在する。連載最終回では、こうした疾患の中から線維筋痛症とシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)を取り上げ、患者会のリーダーたちが奮闘する姿を追った。

【複数の写真が入った記事】


■たらい回しに遭う線維筋痛症患者

 四六時中、痛みが全身を襲う線維筋痛症。「NPO法人線維筋痛症友の会」(横浜市、会員数1500人)の遠藤修理事代行が異変を感じたのは6年前のことだ。「朝起きたら、体にビリビリと痛みが走った。突然だった」。気晴らしに出掛けた温泉に浸かっても痛みは治まらず、3週目に整形外科を受診。関節リウマチを疑われ、痛み止めの薬剤を2週間分処方された。しかし、ある程度落ち着くまで激しい痛みが1年続いた。「痛みの原因を突き止めようと、その間3、4か所の医療機関を受診したが、血液検査を受けても分からない。せいぜい中性脂肪の数値が高いとか、尿酸値が高いとか言われて、食べ物に気を付けなさいとパンフレットを渡される程度だった」という。

 線維筋痛症の推定患者数は国内で200万人に上る。痛みの程度は人それぞれのようだが、遠藤さんは「200万人のうち、寝たきり状態になっている重症者が5万人もいる。残りの195万人についても学校に通えない、あるいは仕事に就けない人が圧倒的に多いと思う」と指摘する。こうした患者の多くが、遠藤さんと同様、原因不明のまま医療機関を転々と渡り歩く経験をしているのではないだろうか。

 また、たとえ確定診断されたとしても、根本的な治療法は確立していない。遠藤さんは「薬剤の適応外使用によって症状が落ち着き、安定した状態に持っていければ、ひどく悪くなることはないと思う。適応外薬のための審議会に一つずつ薬剤を諮って正式承認していくプロセスを取るよりは、医師の判断で使えるようにしてもらえれば、かなり違ってくるのだが」と指摘する。しかし、ほとんどの会員が動きたくても動けない状態のため、遠藤さん1人で国会議員を訪ねて要望書を手渡しているのが実情で、「これでは200万人の重みが伝わりにくいかもしれない。今動くことの大切さを、会員にどう働き掛けていくか悩んでいる」と吐露する。

■取り残されるCMT患者

 末梢神経障害により、手や脚が不自由になっていくCMT。推定患者数は2000人。先端部分からゆっくりと進行していくのが特徴で、症状の重さには幅があるが、重いケースでは車いす生活を強いられる。「CMT友の会」(東京都台東区、会員数100人)の事務局の岸紀子さんは、「発症当初は気付かず、ある程度悪化してから、まず整形外科を受診して、神経内科に回されて初めて病名が付く人がほとんど」と説明。「治療法がないため、大多数の医師は診断が付いたら、ここで終わりという感じになる」と指摘する。一人取り残された形の患者は「どこまで進行するだろうか」「子どもに遺伝しないだろうか」などと不安が尽きない。

 患者会が設立されたのは1年半前とまだ日が浅い。設立に尽力した栗原久雄さんは、「わたしが4年前に発症した当時は、あまりに患者数が少ないこともあり、ほとんど情報がなかった。患者会では正しい情報を発信していくことで、患者さんの役に立ちたい。また、医師や製薬企業などによる治療法の研究が進むように後押ししていきたい」と語る。

■孤立しがちな患者会をサポート

 こうした患者会を含む「ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会」(VHO―net)の事務局を務めているのが、世界製薬最大手のファイザーだ。2001年から始まった参加団体のリーダーが共通課題を話し合う「ワークショップ」が今年、10回目の節目を迎える。同社コミュニティー・リレーション部の喜島智香子ペーシェント・リレーション担当課長は、第1回ワークショップのプラン作りから一貫して患者会の支援活動に携わってきた。喜島さんは「研究が進んでいない難病もあるし、まだまだ希少疾患で困っている患者さんが大勢いる。課題は多く、地道に解決していきたい。そのためには自分たちだけのメリットを考えず、共に取り組む姿勢に徹していく必要がある」と強調。「よりよい医療の実現に患者さんが力を注げるような具体的なプロジェクトを考えていく」と話している。
(この連載は玉城正之が担当しました)


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